常に変動し続ける石としてのダイヤモンドの価格と相場はどう決まる?
ダイヤモンドはジュエリーとしてすでに出来上がった状態での価格をよく目にすると思いますが、実際にダイヤモンド自体の価格はどのようにして決められているのでしょうか。
ダイヤモンドの価格と相場についてお話していきます。
ダイヤモンドそのものの相場や価格・価値はどう決まる?
ジュエリーを購入する時にふと疑問に思う事。
ダイヤモンドはジュエリーとしてすでに出来上がった状態での価格をよく目にすると思いますが、実際にダイヤモンド自体の価格はどのようにして決められているのでしょうか。
今回は、ダイヤモンドの価格と相場についてお話していきます。
これを読めばジュエリーを購入する際のお店選びについて、参考になることでしょう。
価格を決定する要因3つ
ダイヤモンドの価格を決定する要因は3つあります。
- 一つ目は「需要と供給」
- 二つ目は「外国為替相場」
- 三つ目は「流通経路のコスト」
これらの要因に合わせて、石自体の品質によって価格が決まるのです。
では3つの要因について、それぞれ詳しく見ていきましょう。
需要と供給
ダイヤモンドは大きく不透明な白っぽい原石から磨き出されて、美しい輝きを放つようになる鉱石です。
まずは、ダイヤモンドの原石を採掘・供給企業が掘り起こすところから始まります。
しかし、採掘したそばから売るという形態ではありません。
この採掘・供給企業は、ダイヤモンドの市場動向に合わせ、供給量を調整しています。
まず、ダイヤモンドの原石の相場価格が決められます。
ダイヤモンドの原石は、ダイヤモンド供給企業として有名なデビアス社が主催する販売会にて、参加を認められた購入権利を持つ企業(サイトホルダー)に販売されます。
販売されたダイヤモンド原石は、サイトホルダーもしくはカット業者によって、ラウンドブリリアントやその他のシェイプにカットされ、市場に流通していくことになります。
需要に対して供給量が上回り、市場にダイヤモンドがあふれるとダイヤモンドの価値が下がり、価格も下がります。
反対に市場からダイヤモンドが極端に減ってしまうと、ダイヤモンドの価格が高騰してしまい、一般消費者の手に届かないものになってしまいます。
ダイヤモンドの価格ができる限り一定になるように、デビアス社をはじめとした採掘・供給企業の中で、ダイヤモンドの供給量はコントロールされています。
こうしてダイヤモンドの価値は長い間保たれてきたのです。
外国為替相場
ダイヤモンドは金やプラチナと同様の性質があり、国際相場が決められています。
先ほど需要と供給のバランスによって価格が変動するとお話ししました。
その後はダイヤモンドの品質によっても価格が分けられ、そして外国為替相場でそれぞれの国の相場が決まります。
2023年1月現在、歴史的な円安と話題になっていますが、それはダイヤモンドの価格にも大いに影響してきます。
日本に流通しているダイヤモンドは、全て海外から輸入しています。
ラパポートダイヤモンドレポートの国際相場を基に、日本円での価格が決定します。
USドルに対して円高になればダイヤモンドは安くなりますし、円安になればダイヤモンドは高くなります。
今は円安ですから、ダイヤモンドの価格は高くなっています。
その為、ダイヤモンドの裸石(ルース)を購入し、ジュエリーに加工して販売する業者にとっては、かなりの痛手になっています。
流通経路やブランド・店舗にかかる費用
円安で日本でのダイヤモンドの価格は高騰していますが、実際にジュエリー店へ行くと、そこまで価格に変わりがないように感じるかもしれません。
その原因はジュエリーにして販売するコストが関係しています。
輸入されたダイヤモンドは、店舗やブランドで販売されるまでの流通コストが加算されています。
ダイヤモンド流通のはじまりである、原石採掘業者、ダイヤモンドカッターなどが付加する流通マージンはそれほどかかりません。
しかしその後、最終的にお客様のもとに届く小売店舗までの流通経路までに、一次卸、二次卸メーカーなどの多くの中間業者が挟まります。
この中間業者がたくさん入るほど、ダイヤモンドの価格は高くなっていきますし、ジュエリーにした時にも販売価格がどんどん吊り上がります。
更に、意外とかかるコストとして、店舗やブランドの維持経費が挙げられます。
小売店舗運営費、在庫維持費、人件費は必ずかかってくるものです。
銀座などの一等地や大手デパートに間借りしているお店ですと、テナント料だけでも莫大な経費がかかるのです。
また、ジュエリーはブランドイメージが命でもあります。
美しい写真・動画の広告を街中で出展、WEB広告やTVCM広告で販促するなどで、大きな経費となります。
最終小売価格には実際のところ、これらが大きく反映されているのです。
中間業者をできる限り廃し、広告も最小限で、テナント料もほとんどかからず、販売価格をできる限り抑えているジュエリー店はレアケースです。
ダイヤモンドの4C~品質と価値はイコール~
ダイヤモンドの価値を測る上で知っておきたいのが4C。
カットされたダイヤモンドは、アメリカのGIA(米国宝石学会)が定めた国際的なダイヤモンドの評価基準に基づいてランク付けされます。
「4C」と呼ばれる4つの要素で価値が決まります。
4CとはCarat(カラット=重さ)・Color(カラー=色)・Cut(カット=輝き)・Clarity(クラリティ=透明度)の4項目の頭文字を合わせたものです。
カラット数が大きくて、グレードの高いダイヤモンドは、希少性が高いので、価格も高くなります。
4Cについて
Carat カラット:重さ
カラットは、宝石全般の重さを測る際に使われる重量単位のことです。1カラット(ct)=0.2gと決められています。
ダイヤモンドは、1907年のメートル条約で定められたメートルカラット単位を使用して計算されます。
大きなダイヤモンドは小さなダイヤモンドより採掘される量が少なく、カラット数が大きくなればより希少価値が高まります。
カラットは、4Cの中でも最も見た目から違いが分かりやすい基準ですので、ダイヤモンドを選ぶ際の指標として、優先される方が多い印象です。
Cut カット:輝き
カットは、ダイヤモンドの美しい輝きや煌めきが最も反映されます。
ダイヤモンドジュエリーに多く用いられる「ラウンドブリリアントカット」は、ダイヤモンドに注がれた光を最も効率よく反射させ、キラキラと輝かせる形状として考え出されました。
カットグレードを出すことができるのは、実はこのラウンドブリリアントカットのみです。
他のシェイプには、カットグレード以外の評価基準が定められています。
カットの総合評価はシンメトリー(対称性であるか)・ポリッシュ(研磨美しく施されているか)といった要素で決まります。
これらが優れているほどダイヤモンドは美しく輝くのです。
Color カラー:色
カラーは、ダイヤモンド自体の色が透明であるかを表します。
D~Zの評価を付け、微細な色の変化を表現します。
色評価がカラーレスやニア・カラーレスのものを一般的にジュエリーとして使用します。
少しの色味の差が価値に大きな影響を与えるため、もちろん最高グレードが良いことには変わりありませんが、カラーはある程度妥協しても満足のいくダイヤモンドを手に入れることができると感じます。
実際に、鑑定機関では、照明と部屋を一定に保ち、基準となるマスターストーンと並べて、熟練の鑑定士が比較することで鑑定します。
色の差は正直言いまして微妙なもので、専門家でも判別は難しいのです。
ダイヤモンドのカラーグレードとは?ファンシーカラーダイヤ・蛍光性についても解説!
Clarity クラリティ:透明度
クラリティは、ダイヤモンドの中や外側にある、インクルージョン(内包物)とブレミッシュ(傷)がどの程度あるかを測定します。
ダイヤモンドは天然の鉱物ですので、地中で形成される際に他鉱物の結晶が混入したり、あるいは裂け目や割れ目や層ができたりします。
こうした内包物や傷は、内容と位置によってはダイヤモンドの外観に影響を与えることがあります。
ダイヤモンドのクラリティとは透明度。グレードの選び方はどうする?
おすすめは、カラットとカット
ダイヤモンドを評価する4Cの中でも、肉眼でその違いが判別しやすいものはカラットとカットです。
ダイヤモンドの大きさと輝きを司る項目ですので、見た目に一番影響を与えるのも納得です。
対して、カラーとクラリティはグレード同士の違いを見分けるのは比較的難しいので、こだわられるならという位置付けのようです。
【ダイヤモンド選びの基礎知識】ダイヤモンドの評価基準4Cとは?
まとめ
ダイヤモンドの相場と価値がどのように決められているのかがわかってくると、ジュエリー選びの一つの指標になります。
ダイヤモンドの原石の供給量は採掘会社によって、常に一定になり続けるように調整されながら市場に出回っていきます。
ただし、円高や円安といった外国為替相場によってその価格は大きく影響を受けています。
最終的には販売店のブランド料、店舗維持経費、テナント費、広告料など、多くの要素が重なることによって、ジュエリーとしての販売価格になります。
ブランド料というのは価格に対して意外と馬鹿にできない要素の一つ。
ノンブランドとブランドで4C評価が同じダイヤモンドを使っていても、価格が全然違うというのもこの辺りの事情です。
もちろんダイヤモンドの品質を表す4Cの評価によって、ジュエリーの価格はかなり異なってきます。
ダイヤモンドのどういった評価を最も優先したいかを考えながら選ぶと、満足のいくダイヤモンドを見つけることができるはずです。