ダイヤモンドは欠ける・割れる!?予防と対処、お手入れの仕方とは?
ダイヤモンドは石の傷つきにくさを示す「モース硬度」が最高値の10。
そんな地球上で最も硬い鉱石と言われているダイヤモンドですが、ジュエリーとして使っているといつのまにか欠けたり、割れたりしているケースもあります。
その理由をご説明いたします。
ダイヤモンドは、地球上で何よりも硬いのに、欠けたり割れたり傷ついたりするの?
ダイヤモンドはモース硬度と呼ばれる、石の傷つきにくさを示す数値が最高値の10。
トパーズやピネルは硬度8、ルビーやサファイアは硬度9。
これらも比較的硬い石ですが、擦り付けたとしてもダイヤモンドには傷ひとつ付きません。
そんな地球上で最も硬い鉱石と言われているダイヤモンドですが、ジュエリーとして使っているといつの間にか欠けたり、割れたりしているケースも稀にあります。
「最も硬い鉱物なのにどうして?」
今回はそんな疑問にお答えします。
ダイヤモンドが簡単に欠ける・割れる・傷つく理由とその仕組み
モース硬度と靱性
ダイヤモンドが最も硬い鉱物であるにも関わらず割れてしまう理由は、評価基準の違いが挙げられます。
宝石の強度を示す『モース硬度』と『靭性』という指標についてご紹介したいと思います。
モース硬度については、宝石を調べると必ず登場する指標ですので、名前は聞いたことがあるという方も多いと思います。
靱性は聞き慣れない言葉かもしれませんが、実はこちらが鉱物が割れにくいかを表す指標になっています。
モース硬度の勘違い
実はダイヤモンドはハンマーを使って強い力で叩くと簡単に粉々に割れてしまいます。
鉄の釘を打っても壊れることはないと思うので、ダイヤモンドは意外と脆い?と感じるかもしれません。
ちなみに、鉄のモース硬度はダイヤモンドよりはるかに下です。
ここには一つ勘違いがあり、そもそもモース硬度というのは硬さの絶対尺度というわけではないのです。
モース硬度というのは、鉱物同士を擦り合わせた時にどちらが傷つきどちらが傷つかなかったかという、キズのつきにくさを表した単位です。
硬さには様々な尺度があります。
叩いても割れない、曲げようとしても曲がらないといったことは、モース硬度とは別物です。
叩いて割れるかどうかとモース硬度は相関しません。
靱性とは
傷か付きにくいことを表すのが、モース硬度。
他にも鉱物の強靭さを測る尺度があり、破壊に耐えるかを表すのが靭性と言います。
こちらは力を加えても割れにくいかを測定します。
ジュエリーに使われる宝石の中で靭性が強いのは、トップに位置するのはルビー、サファイア、翡翠です。
ルビー、サファイアはダイヤモンドよりモース硬度は下でしたし、
翡翠に至ってはモース硬度では水晶と同程度の非常に柔らかさのある鉱物です。
これらの石は、割れにくさという点でダイヤモンドよりも優れています。
靱性ではルビー、サファイア、翡翠、そしてその3つの下にくるのがダイヤモンドです。
4番目ですので、ダイヤモンドも宝石の中では靭性はあるほうですが、それでもハンマーで叩くと残念ながら簡単に砕けてしまいます。
ダイヤモンドが地球上で最も硬いという話は、あくまでもモース硬度を参照した一面的な意見であることがわかります。
具体的に、ダイヤモンドをどう扱うとマズい状態になる?
ダイヤモンドの弱点
ダイヤモンドは正八面体の結晶でできています。
結晶内部は分子の相互結合が非常に強固。
そのため、引っ掻いた時の強靭さ、ダイヤモンドのモース硬度は高くでます。
ただしこの八面体の一面だけ結合の緩い部分があります。
ダイヤモンドの八面体のなかで、炭素同士の結びつきが弱くなっている箇所。
「へき開面」と言います。
その面に対して平行に力が加わると、比較的簡単にダイヤモンドは割れてしまいます。
へき開面を持つことがダイヤモンドの靭性が少し劣ってしまう理由です。
反対にこのへき開面を持つからこそ、硬いダイヤモンドを加工することができます。
へき開面を探して、その方向に沿って切断や加工を行うことができるのです。
加工を容易にする一方で、ぶつけた際には欠けや内部亀裂を引き起こす原因にもなっているのですね。
気をつけるべきこと
ハンマーでダイヤモンドを叩く機会なんてないと思いますが、
それ以外にもあっけなくダイヤモンドが欠けたり、割れたりする可能性がある瞬間があります。
例えば、うっかり地面に落としたり、何か硬いものとぶつかったりした時。
日常生活ではよっぽど打ちどころが悪くなければなかなか欠けたり割れたりはしませんが、
力仕事をしたり、家事などで忙しく動き回ったりするときはジュエリーは極力外しておくことが大切です。
特に大きなダイヤモンドがついた指輪は手作業には向きません。
また、ダイヤモンドは鋭くとがった部分があるものは比較的欠けやすいという性質もあります。
ダイヤモンドで最もポピュラーなラウンドブリリアントカットは丸い形をしていますので、安心感があります。
しかしマーキースカットやプリンセスカットなど、尖っていたり四角い角があるダイヤモンドの形は特に気をつけて使う必要があります。
心配な方は購入の際に鋭点や鋭角のあるダイヤモンドを避けるのも一つの手でしょう。
実際に、ダイヤモンドが欠けて傷ついてしまった!割れてしまった!どうすれば良い?
欠けたダイヤモンドは使わない
ダイヤモンドは、ぶつけたり落としたりすると、小さな傷や欠けが生じてしまいます。
特にすでに欠けているダイヤモンドは着用しないのが賢明です。
一度欠けて鋭いエッジができると、そこから新たな欠けが生じ、事態を悪化させてしまうかも。
修繕が終わるまで着用を控えるが吉です。
割れ・欠けの部分をカットする
割れや欠けがあるダイヤモンドをその部分だけカットするという方法があります。
しかし、損傷の大きさによってはカットする部分が大きくなりすぎて、元の土台には合わないことも。
修理してくれるお店とよく相談し、デザインごと変えることができればその方がよいかも。
損傷の仕方によっては、修理の際にさらに大きく割れりリスクがあるので、そもそも修理を受け付けてもらえない場合もあります。
割れ・欠けを隠すように爪などで補強する
指輪などであれば、小さな割れ欠けを爪で隠して、さらに補強するという手法もあります。
指輪のデザインは変わるかもしれませんが、現実的な手法ではあります。
ダイヤモンドを交換する
ダイヤモンドの損傷状況によっては、そのまま修理することが出来ない場合は多々あります。
もともとついていた石を外し、新しいダイヤモンドに交換するのがむしろ一般的かもしれません。
元のデザインのまま復活させることが出来ます。
もちろん新しいダイヤモンドの代金はかかりますので、ご予算と相談で。
割れたダイヤモンドは完全に破棄でもなく、カットしてネックレスやピアスなど他のジュエリーに再利用するのもアリです。
そもそも、ダイヤモンドを割ったり傷付けたりしない対策・対処法や予防の仕方は?どう気を付ければ良い?
アクティブに動く時には着けない
基本的に、ダイヤモンドを割らないためにはぶつけたり、落としたりしないということが重要です。
ぶつけたり落としたりするのはどんなタイミングがあるでしょうか。
1番いけないのはスポーツをする時です。
特にテニスやゴルフなど、手のグリップを使うスポーツは最悪です。
必ず外しておきましょう。
また日常生活でよくあるのが、家事で動いていたり、力仕事をしたりしている時。
引越しで重い物を持ったり、なんと買い物で沢山荷物を持った時に指輪が変形した!という事例も聞きます。
握ったりする動作がある時は、ダイヤモンドを身に付けないようにしましょう。
ただし、外したまま失くしてしまう方もいるため、袋や箱などのケースに入れるなど、外した後についても注意してください。
落としたり、硬いものにぶつけない
故意に割ろうとしなければ基本的には大丈夫ですが、
誤って高いところから落としてしまったり、硬いものとぶつかったりするのも危険です。
ふとした瞬間にダイヤモンドは割れることがあるのです。
丸みのあるダイヤモンドを選ぶ
ダイヤモンドは鋭い部分ほど割れやすくなります。
ラウンドブリリアントカットはダイヤモンドの輝きを効率的に引き出すための形ですが、同時にダイヤモンドカットの中では割れにくい形とも言えます。
ダイヤモンドを選ぶ際に、丸みのあるデザインを選ぶのも割れを防ぐ一つの方法かもしれません。
もともとヒビや内包物の少ないダイヤモンドを選ぶ
元々原石にヒビや割れなどの内包物が含まれているものもあります。
ダイヤモンドを評価する4Cのクラリティの項目が著しく低いグレードのものはダイヤモンドが欠ける危険性があります。
このようなダイヤモンドは、長く着用していると何もしてなくても自然に割れる可能性がありますので、特に注意してあげましょう。
まとめ
ダイヤモンドはとても硬い鉱物で、めったなことでは傷はつかず、美しさだけではなく、そういった点からも高い価値にもつながっています。
ただしモース硬度は高いダイヤモンドですが、割れや欠けに関係する靱性は最も高くはないことは理解しておきましょう。
ダイヤモンドは衝撃に対しては決して強いわけではなく、日常生活でも破損の危険は潜んでいます。
乱雑に扱っていると、婚約指輪といった大切なジュエリーが傷ついてしまうことになりかねません。
ダイヤモンドに対する正しい知識を学び、大切に扱いましょう。